まばたき、咳払いを続ける

症状について

症状は、まばたき、首振り、顔しかめ、口すぼめ、肩上げなど上位の身体部位によく現れますが、飛び跳ね、足踏み、足けりなど全身に及ぶ運動性チックといわれるものもあります。また、咳払い、鼻ならし、叫びや単語を連発する音声チックといわれるものもあります。しかし、周囲の人の目にとまりやすいチックでは、本人も気にするようになります。

チックとは

突発的、急速、反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものです。一種の癖のようなもので、これが固定・慢性化して激症化するとチック症と診断されます。いずれも、本人はわざとやっているわけではなく、止めようと思っても止まりません。小児期ではまれな疾患ではなく、幼児から小学校低学年ぐらいまでの子に多く見られ、成人するに伴い自然に治癒する傾向があります。しかしながら、チックは本人が止めようとすると増強したり、発表会などの緊張場面で強まったりすることがあるので、チックは心理状態に影響されやすい疾患です。またチックを発症する小児の母親が神経質で過干渉という印象を与えることも少なくありません。

治療や療養に関してのアドバイス

治療の目標は、ストレスなどへの適応性を高め、人格の発達援助を目指すことです。チックは本人、家族および周囲の人にその症状を理解してもらい、チックの症状が出てもことさら気にせず、日常生活が円滑に行えるようにすることが大切です。症状の出現をやめるように、いたずらに叱責して注意を促すことは避けるべきで、全身運動の発散に関心を向けさせ、一方では、興味を抱いて熱中できるものをもたせることが有効です。チックは基本的に薬物療法の対象とならない疾患ですが、しばしばの音声チック、多彩な運動性チック、あるいはその両方を認め、学校・家庭での生活が障害される場合は、薬物療法を行います。
しかし、症状が長期・慢性化し、多発・激症化する場合には、子ども専門の精神科などの医療機関ヘの受診が必要になります。