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人前で字を書く時に緊張して手が震え、うまく書けなくなってしまう方がいます。中には利き手をもう一方の手で支えなければいけないほど震えてしまう方もいます。このような症状を書痙といいます。症状が字を書く時だけに限られる人もあれば、お酒を注ぐときやコーヒーに砂糖を入れるときにも持ち手が震える方がいます。
どのような動作でも手指が震える場合は、本態性振戦、パーキンソン病、小脳疾患などの可能性があり、こうした疾患との鑑別診断が必要です。
書痙の原因は
極度の対人緊張
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治療や療養に関してのアドバイス
書痙は、他人を意識するあまり、緊張が過度に高まって起こる対人恐怖の症状です。
書痙を治すためには適切な薬物療法の助けを借りながら、対人緊張を緩和する方法を体得することが大切です。その人の性格などによって有効な治療法は異なります。1つの方法が合わないと感じたときは、別の治療法に切り替えることも必要です。
[薬物療法]
抗不安剤を使います。
[認知行動療法]
「自分だけが緊張している」という強い思い込みを「他の人も結構緊張している」という認知に変え、そこから行動の変容を促進する方法です。
[森田療法]
症状をありのままに受け入れ、共存しながら、自己の目的(職務)などが遂行されればよし、という考え方を体得する方法です。
[ボツリヌス毒素療法] ボツリヌス毒素を適当量、 けいれんしている筋肉内に注射することで振戦をとめる方法です。
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