梅毒について
梅毒が増加しています
梅毒の患者さんが全国的に増えています。特に2013年頃より、毎年報告数が増え続け、兵庫県下でも、一昨年と昨年はそれまでの倍になっています。特に若い人たちが占める割合が高くなっており注意が必要です。その梅毒について、知っておきましょう。
- どんな病気なんですか
性的な接触(病原体を保有する人の粘膜・皮膚と直接接触)することで梅毒トレポネーマという病原体に感染することで発病します。潜伏期を経て、全身の臓器に炎症性の病変を起こします。
- かかると、どんな症状があるの?
感染してからの時期によって症状が異なります。 第1期(感染後約3週間):感染部位(性器・口唇・口腔・肛門など)にびらん(ただれ)やしこりができ、周囲のリンパ節が腫れることもあります。治療をしなくても自然に消失します。 第2期(感染後数ヶ月):全身の皮膚に「ばら疹」と呼ばれるうっすらと赤い発疹が広がります。これも無治療で消えることがあります。 晩期(感染後数年):皮膚、筋肉や骨に「ゴム腫」とよばれる腫瘍ができます。また、心臓、大血管や脳・神経系に病変を作り命に関わる状態となることもあります。
- 放っておくと、何が問題なの?
第1期、2期で病変が消えていても性行為によって他人に移す可能性が高いことです。知らない間に大切な人に感染を広げてしまいます。 第2期の皮膚症状がアレルギー、麻疹など他の感染症と間違われて適切な治療を受けられない可能性があります。 また妊娠中の人が感染すると、胎盤を介して胎児に感染し、流産・死産や産まれた赤ちゃんに奇形が起こることが知られています(先天梅毒)。
- 治療すればちゃんと治るのですか
抗菌薬をきちんと服用することで病原体は身体からいなくなり、治癒することが可能です。
- かかってしまったかも。どうすれば…
まずは医療機関を受診することです。正しい診断のためには恥ずかしがらず、性的接触のあとに生じた性器や口腔の病変についても医師に告げてください。血液検査で感染しているかどうかがわかります。そして感染していたら、医師の指示に従い治療を継続しましょう。梅毒の患者さんが抗菌薬内服開始後に高熱が出ることがよく知られていますが、これを薬の副作用と誤解して自分で内服を中断してしまうと、不完全な治療で終わってしまします。こんな時にもきちんと医師に相談して治療を最後まで行うことが大切です。
最後に
一番重要なのは「予防」です。コンドームの使用が有用と考えられますが、それで覆われない場所に病変があれば完全ではありません。また専門家からは梅毒に感染するということは、AIDSなど他の病気にも同時に感染する危険性も指摘されています。性行為感染症に関する正しい知識を得て、「予防」することが大切です。