11月 17, 2025

足の指のかゆみと爪の変色

足が痒いとか爪の色が変色してきたら何を考えますか?カビの一種である白癬菌やカンジダ菌が原因となって、足に水ぶくれが出来たり皮膚がはがれおちたり、時々痒みを伴うことがあります。これを一般に水虫と言います。更に進行すると爪に菌が侵入し、爪が混濁・肥厚してきます。この場合は爪の水虫です。 足の指がかゆく、爪も変色してきた原因は 皮膚科専門医により顕微鏡での菌検査を受けましょう。 治療や療養に関してのアドバイス 足の皮膚だけに症状がある時は抗真菌剤を塗り薬を根気良く塗りましょう。足の裏が硬く角化している状態や爪に症状がある時は抗真菌薬の内服が必要になってきます。内服方法は毎日継続する方法(3ヶ月飲む薬と6ヶ月飲む薬があります)とパルス療法という特殊な飲み方があります。パルス療法とは、一週間多めに内服しその後三週間お休みし、これを三回繰り返す方法です。 水虫と間違いやすい症状に、汗が関係する「汗疱」

全身のむくみや息切れ、ふらつき(橋本病、慢性甲状腺炎)

慢性に経過する甲状腺の病気の「橋本病」は、90%以上は女性で30~60歳代に好発するとの報告があります。成人女性の25~30人に1人の割合でみられる、ごく一般的な疾患といえます。放置していてもまず心配はいりませんが、長期間経過しているうちに甲状腺機能低下症状(全身倦怠感・むくみ・しわがれ声・寒がり・便秘・脱毛など)が患者さんの20%くらいにみられることがあります。 「橋本病」の症状は 「橋本病」は代表的な甲状腺の自己免疫疾患で、橋本甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの名があり、他臓器の自己免疫疾患と合併することもよくあります。多くは甲状腺が全体に硬く腫れますが、痛みもなく、内科などを受診したとき「甲状腺が大きいね」と触診した医師に言われて気づくほどで、甲状腺機能が正常な限り、甲状腺腫による圧迫症状以外は無症状で経過すると言ってよいでしょう。逆に言えばかなりの頻度で見落としもあると思われます。高齢者

高齢者の膝の痛みの代表・変形性膝関節症

年をとるにつれて体の節々(特に膝の関節)が痛み、階段の上り下りや長時間の歩行などがつらいという人が増えてきます。これは骨と骨との間にある軟骨が摩耗することによって関節が変形するために起こるもので、変形性関節症といいます。膝関節では変形性膝関節症と言われて、ひどくなれば水がたまり関節が腫(は)れてきます。 変形性膝関節症の原因は 関節が一度変形してしまうと元の状態に戻すことはできませんが、症状を和らげることは可能です。 治療や療養に関してのアドバイス 適度な体操と保温、減量の努力で膝の痛みはかなり和らぎます。 どこの科にかかったらよいか 痛みが強いときは整形外科を受診して下さい。また、膝の体操などの指導も受けましょう。

血液検査でコレステロールの値が低い

健康診断などで「コレステロール値が低い」と指摘されると、高い場合と比べて情報が少なく、どう対応すればよいか戸惑うかもしれません。ここでは、低コレステロールについて解説します。コレステロールは、私たちの体の細胞を包む細胞膜の強度を保ち、外部の環境から細胞を守る大切な役割を担っています 。また、生命維持に必要なステロイドホルモンや、骨の健康に欠かせないビタミンDの材料でもあります 。 コレステロール値が低くなる背景には、以下のような病気や状態が隠れていることがあります。 1:肝臓の病気(肝硬変など)  2:甲状腺機能亢進症(バセドウ病)  3:栄養障害や吸収不良 治療や療養に関してのアドバイス コレステロール値は「低ければ低いほど良い」というわけではありません 。極端に低い状態が続くと、血管がもろくなったり、免疫力が低下したりする可能性も指摘されています

突然の関節の痛みと腫れ

痛風は、血液中の「尿酸」という物質が増えすぎ(高尿酸血症)、関節の中で針状の結晶となって、ある日突然、足の親指の付け根などに激しい痛みを引き起こす病気です。 痛風の原因は 尿酸の過剰産生 尿酸の(腎)排泄低下 ストレス、疲労、アルコールの飲み過ぎ、肥満 治療や療養に関してのアドバイス 痛風発作の痛みは数日で治まることもありますが、原因である高尿酸血症は続いているため、放置すると発作を繰り返し、慢性化します。 慢性化すると、関節の変形や腎障害、尿路結石などを引き起こすほか、高血圧や心疾患、脳卒中などのリスクも高まります。  生活習慣の改善: 1;食事: プリン体や糖分の多い食品、アルコール(特にビール)は控えめに。  2;水分摂取: 尿量を増やして尿酸の排出を促すため、1日2リットルを目安にしっかり水分を摂りましょう。  3;運動: ウォーキングなどの

血尿や蛋白尿

健康診断で血尿やタンパク尿を指摘されても、自覚症状がないことがほとんどです。 しかし、症状がないからといって放置してはいけません。 特にタンパク尿が続く場合は注意が必要です。 これらの症状で最も多い腎臓の病気が「IgA腎症」です。 IgA腎症とは 免疫を担う「IgA(免疫グロブリンA)」という物質が、腎臓のフィルター機能を持つ部分(糸球体)に沈着し、炎症を引き起こす慢性の腎炎です。 はっきりとした原因は不明ですが、風邪の原因となるウイルスや、扁桃炎などを繰り返すこととの関連が指摘されています。 IgA腎症は、治療せずにいると、約3分の1の方が徐々に腎機能の低下が進み、腎不全に至る可能性があるため、早期の対応が重要です。 治療や療養に関してのアドバイス 1:血尿のみの場合: まずは定期的に尿検査、血圧測定、腎機能の血液検査を受け、経過を観察し

血便、肛門からの出血

便に血がついた、排便時に出血したという訴えは比較的多いですが 多くの方は痔ではないかと思われるようです。しかしその原因は痔からの出血ばかりではなく、大腸の癌や出血性大腸炎などたくさんの原因があり、治療を始めるためには出血の原因が何なのか調べる必要があります。 血便、肛門からの出血の原因は 一般的に便と混ざっていない鮮血は肛門や直腸からの出血が多いですが、直腸癌などの悪性腫瘍や直腸ポリープと呼ばれる良性腫瘍からのこともあり症状のみでは区別が困難です。また出血性直腸潰瘍などの疾患もあり検査が必要になります。また直腸より口側では出血して便と血液が混ざることが多く、直腸と同様に癌やポリープの腫瘍が原因の一つとして挙げられます。そのほか、比較的多い出血原因が結腸憩室からの出血で、これは結腸の壁に袋状の突出物ができ炎症や出血などを惹き起こす疾患です。比較的高齢者に多い病気として大腸の血行障害が原因と考

性器クラミジア感染症と言われた

この病気は性行為によって感染する感染症で、病原体はクラミジア・トラコマチスという微生物です。最近、特に10代、20代の若い男女の間で感染者が増えています。感染していてもほとんど症状が無いことが、この性感染症が広がる大きな原因です。この病気の恐い所は自覚症状に乏しいため、気付かないうちに病状が進んで行くことです。子宮の入り口に食い込んで巣をつくった病原体はやがて卵管を通ってお腹の中に入り、肝臓の周囲にまで炎症を起こすことがあります。知らず知らずのうちにお腹の中に広まった炎症は、突然腹痛を伴う急性腹膜炎を発症することすらあります。その頃にはすでに卵管が詰まり妊娠出来なくなってしまっていることもあり、将来妊娠を望む女性にとっては非常にやっかいな病気です。 原因は クラミジアの一種であるクラミジア・トラコマチスが、性交・オーラルセックスなどによって、尿路や性器に感染することで起きます。症状は、感染

角膜移植って?

角膜は一般的に「くろめ」と言われ、その厚みはわずか0.5mmの薄い透明な膜で出来ています。病気などで透明な角膜に濁りや変形、腫れが生じ、視力低下や、痛みがある場合の治療に、最終手段の一つとして角膜移植があります。お亡くなりになった方から透明な角膜をご提供いただき、傷んだ角膜と取り換える手術が角膜移植です。現在では、角膜のすべての層を移植する方法に加え、角膜の一部の層だけを移植する部分移植が行われています。また、大切な細胞だけを移植する方法なども行われるようになってきました。 角膜移植の適応は? 角膜の濁り、腫れ、変形があり、他に治療法がない場合に適応となります。代表的な病気として、水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)があります。角膜が腫れないように働いている細胞(角膜内皮細胞:かくまくないひさいぼう)が減ったり、働きが低下すると、角膜が腫れて濁り、その結果、視力が低下し、徐々に痛くな

物がゆがんで見えたり、視力低下をきたす加齢黄斑変性症

ものがゆがんで見えたり、視力低下をきたす疾患は、網膜の中心部にある黄斑部というところの疾患を考えなければなりません。初期から視力が低下しやすい黄斑円孔や中心がぼやけて見えたりする黄斑浮腫、ゆがみが強くなったりする網膜前膜などの他の黄斑疾患との鑑別は必要ですが、これらの症状をきたす病気としては、黄斑変性症が代表的です。この中にも、強度近視による黄斑変性症もありますが、ここでは特に加齢によっておこるとされる加齢黄斑変性症について説明します。 加齢黄斑変性とは 網膜は映像を脳に伝える役目がありますが、その最も視力に大切な役割を果たしているのが黄斑といわれる部位です。網膜の黄斑部の後ろの脈絡膜に新生血管という、にわか作りの異常血管が発生し、黄斑部を障害する病気です。その結果、黄斑に出血や、水ぶくれ(浮腫)が起こり、傷んでいく病気です。 治療せずに放っておくと、視力が高度に低下し難治な状態に陥ること