マラソン中の心停止

・マラソン中におこる心停止について
 マラソン中に心停止が起こる割合は10万人中0.54人という米国のデータ(2000~2010年)があります。また心停止した人の死亡率は71%でした。心停止の原因で最も多いのは心臓の筋肉の病気である肥大型心筋症から起こる不整脈といわれており、次に多いのが狭心症や心筋梗塞など心筋に血液が十分いきわたらない虚血性心疾患です。

マラソン中の心停止の予防

肥大型心筋症の多くは原因不明ですが、虚血性心疾患は動脈硬化が主な原因です。動脈硬化には高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が関係しており、その予防には喫煙、過食、運動不足などを改めることが大切です。生活習慣病治療中の方はもちろんですが、健康な人もレース前には医療機関で心電図や血液検査を受けることをお勧めします。レース中は心臓に負担のかかる急激なペース変化を避けましょう。夏季の脱水や冬季の低体温も突然死の原因となるので注意が必要です。

レース中に倒れている人を発見したら

まず意識を確認し応答がなければ周囲の人に自動体外式除細動器(AED)の準備と119番通報を頼みましょう。そして直ちに胸骨圧迫を行うことが重要です。普段から胸骨圧迫などの救命処置を学んでおかれることをお勧めします。