PSAが高いといわれた

 前立腺がんは加齢とともに発生頻度が増加し、その多くは60歳以降に認められます。前立腺がんは一般的には進行速度が遅いがんと考えられていますが、進行の早いものもあり、欧米では男性のがんの中で罹患率は最も高いものの一つです。日本でも近年罹患率、死亡率ともに増加しており、非常に身近な癌と考えられます。


前立腺がんスクリーニング検査

血清PSA測定をするPSA検査は、住民検診、健康診断、人間ドック、かかりつけ医における前立腺がんのスクリーニング検査として勧められています。

PSAはProstate Specific Antigen(前立腺特異抗原)の略号で、前立腺がんの腫瘍マーカーとして、前立腺がんの早期発見、病気の進行程度の推測や治療経過観察中の再発・再燃を診断する上で役立っています。
生理的には、PSAは前立腺から精液に分泌されるセリンプロテアーゼという蛋白分解酵素で、射精直後のゲル状の精液をさらさら(液化)する働きがあります。そのほとんどは前立腺内に留まっていますが、一部血液中に漏出します。

PSAの基準値は、全年齢で0.0〜4.0ng/mL、加齢とともにPSA値が上昇するので、年齢別にみると50〜64歳:0.0〜3.0ng/mL、65〜69歳:0.0〜3.5ng/mL、70歳以上:0.0〜4.0ng/mLが一般に採用されています。
PSA値は前立腺がん以外でも、加齢や前立腺肥大症において軽度上昇、急性前立腺炎では異常高値となります。また、尿閉、射精、長時間のサイクリング、尿道操作(導尿、膀胱鏡検査など)、直腸診などでも一過性に上昇するので留意する必要があります。
一方、前立腺肥大症に対するアンチアンドロゲン剤(酢酸クロルマジノン、アリルエストレノール)、5α還元酵素阻害剤(デュタステリド)や男性型脱毛症に対する5α還元酵素阻害剤(フィナステリド)などの薬剤がPSA値を低下させるので、これらの薬を内服しているかどうかを確認する必要があります。

PSA値が高いと必ずしも前立腺がんがあるわけではありませんが、4~10ng/mL(グレーゾーン)では20~30%、10~20ng/mLでは30~40%と高くなるほど前立腺がんが見つかる確率が高くなります。

どのような人が前立腺がんのスクリーニング検査を受ければいいですか?

前立腺がんは50歳以上では加齢とともに罹患率(がんになる)は上昇していきます。一方、40歳代以下では罹患率は極めて低いため、50歳以上の方は前立腺がんのスクリーニング検査を受けることが勧められています。
また、家族の中に前立腺がんの既往のある方は、発症リスクが高くなるといわれています。すなわち、第一度近親者(父親、兄弟)に前立腺がんの既往のある方が1人いる場合にはリスクは2倍になり、さらに、2人以上いる場合にはリスクは5~11倍に増加します。このため、40歳からの受診が勧められています。

前立腺がんの診断

 PSAが4ng/ml以上であれば前立腺がんを疑います。その場合は超音波検査、直腸診、MRI検査などで前立腺の状態を確認しますが、がんの確定には針を刺して前立腺の祖組織を採取する生検によって確定します。生検でがんが確定すれば転移しているかをCT検査、骨シンチグラフィー検査などで調べます。