コレステロールはからだの細胞を構成する大切な成分の1つで、必要な物質です。しかし、多すぎるとからだに血液を巡らせる動脈内に付着していって動脈硬化を起こして心筋梗塞や脳梗塞など生命にかかわる重大な病気を引き起こすのです。通常の場合には、コレステロールは肝臓で合成され、余分なものは肝臓で胆汁となり大便中に排泄され、だいたい一定(130mm/Hg~220mm/Hg)に保たれています。いわゆる美味しいものにはコレステロールが多く含まれています。食べ過ぎてコレステロールを過剰に摂取することが原因の他に、病気のためにコレステロールが高くなる場合もあります。
このコレステロール値のうち、動脈硬化等メタボリックシンドロームに関与する「悪玉」がLDLコレステロール値です。近年はLDLコレステロール値が高値であることもいいます。(140mg/dl~)
コレステロールが高くなるひきがねとなるもの
- ネフローゼ症候群
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- 食べ過ぎと運動不足、肥満
- 女性の場合の閉経
他に特別のものとして、日本では500人に1人位の高頻度でみられる「家族性高コレステロール血症」という、遺伝性の高コレステロール血症があります。肝臓から胆汁で排出する能力が通常の半分程度しかないために高値になるのです。食べ過ぎで肥満でもないのに、コレステロールが300mm/Hg以上もあるなどの場合はその可能性があります。家族性高コレステロール血症の場合は、異常な高値になることから、特に継続した治療が必要です。
治療や療養に関してのアドバイス
コレステロール値が250以上の場合に、アキレス腱の厚みが9mm以上あることや黄色腫という黄色い固まりが目の上などにできているなどがあれば、両親などの状況を調べて家族性高コレステロール血症の診断をします。しかし、家族ぐるみで美食家で肥満の場合は食事療法の誤りのために高コレステロール血症になっているとも考えられます。
高コレステロール血症の治療
- 肝臓内でのコレステロールの合成を抑制する働きのある薬剤の内服
- 小腸から吸収されるコレステロールを低下させる薬剤の内服
- コレステロールの代謝を促進してコレステロールを低下させる薬剤の内服
- 食生活の改善(卵黄、乳製品、肉類は控えて、魚や野菜中心の食事内容に切り変える)
高コレステロール血症と診断されたら、本人の治療の必要なことはもちろんですが、お子さんを初め兄弟姉妹など、血縁のある方もチェックを受けて、早期の食生活の改善と必要な場合には治療を始めることが大切です。
どこの科にかかったらよいか
内科を受診してください。 生活指導をよく聞いて実行し、病気を未然に防ぎ、 健康な生活を続けましょう。