2020

五十肩の痛みを取る方法

 専門的には「肩関節周囲炎」といいます。50歳ごろになると起こりやすい肩の症状で一般に五十肩といわれています。老化のひとつの症状でもあります。何かの刺激により炎症が起こって痛みが出てくるようになります。 五十肩の症状は  髪や帯を後ろで結んだりするのに、後ろへ腕を回そうとして痛んだり、後ろまで腕が回らなくなったりすることで気づきます。 治療や療養に関してのアドバイス 診断のためにレントゲン写真を撮ったり、動きの範囲を調べたり、痛みの強い部位を確かめたりして、他に痛みの原因となる病気がないことを確認します。そして、「五十肩」と診断がついたら、痛みを取るための治療が始まります。個人差はありますが、完全に治るには、半年から2年近くかかる場合が多いようです。 「五十肩」の痛みをとる治療  肩は腕を支えている負担の大きい関節なので、普段から血液の流れを良くするための肩回し運動を行って関節を大きく使う

肛門周囲からの排膿、痛み

 体が疲れたりストレスがたまったりすると、肛門が腫れて、痛くて座れなくなります。年に2回ほど、肛門科で切開してもらっています。悪性ではないとのことですが、この先が心配です。 肛門周囲膿瘍と痔ろうの原因 肛門とその奥の直腸との境界には、粘液を分泌する小さなくぼみが10個前後あります。このくぼみの奥にある肛門腺に大腸菌が入り、膿がたまるのが「肛門周囲膿瘍」です。腫れや激痛、発熱が生じ、切開して膿を出す処置が必要です。これがさらに悪化して体外に通じるうみの管が形成された「痔ろう」です。いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)などと並ぶ痔の一種で、繰り返し化膿を繰り返すことが原因です。出来た管の形によって治りやすさが変わります。きちんと治すには手術が必要です。 治療や療養に関してのアドバイス 手術は肛門を締めたり緩めたりする肛門括約筋を温存する方が良く、硬くなったうみの管をくりぬいたり切り開いたりして切除し

黒目が濁っていたら

 角膜は一般的に「くろめ」と言われ、その厚みはわずか0.5mmの薄い透明な膜で出来ています。病気などで透明な角膜に濁りや変形、腫れが生じ、視力低下や、痛みがある場合の治療に、最終手段の一つとして角膜移植があります。お亡くなりになった方から透明な角膜をご提供いただき、傷んだ角膜と取り換える手術が角膜移植です。現在では、角膜のすべての層を移植する方法に加え、角膜の一部の層だけを移植する部分移植が行われています。また、大切な細胞だけを移植する方法なども行われるようになってきました。 角膜移植の適応は? 角膜の濁り、腫れ、変形があり、他に治療法がない場合に適応となります。代表的な病気として、水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)があります。角膜が腫れないように働いている細胞(角膜内皮細胞:かくまくないひさいぼう)が減ったり、働きが低下すると、角膜が腫れて濁り、その結果、視力が低下し、徐々に痛く

腹痛、排便・排ガスの停止、嘔吐

腸閉塞の原因 何らかの原因によって腸が狭くなること、もしくは腸の動きが悪くなることにより腸内容が下の方(肛門側)に流れていかなくなる病気を腸閉塞と言います。開腹手術を受けたことのある方は腸の癒着や索状物により腸が折れ曲がったり、ねじれたりして通過や運動が障害されることがあります。腹痛、嘔吐、ガス・便の排出停止、腹部膨満などの症状や場合によっては重篤な全身症状を引き起こし命に関わる事もあります。 治療や療養に関してのアドバイス 術後腸閉塞の予防法としては暴飲暴食を避け、消化の良いものを食べ、規則正しく食事や排便をして体のリズムを保つことが大切です。おなかが張ってきて痛む時や、ガスや便が出にくいなどの症状がでてきた場合には食事の量を少なくするなどして腸の負担を軽くすることが必要となります。また、腸の動きを良くする漢方薬の大建中湯(だいけんちゅうとう)や六君子湯(りっくんしとう)、四君子湯(しく

肛門痛や出血

 肛門の血流が悪くなって、肛門を締めるクッションの役割を果たしている組織が腫れ、いぼのように膨らんだ「いぼ痔(痔核)」には肛門の直腸側にできる内痔核と、外側にできる外痔核があります。 治療や療養に関してのアドバイス 内痔核は排便時に出血したり、痔核が肛門外に飛び出たりすることがあります。症状が軽ければ座薬で様子を見ます。症状が悪化すれば手術となります。内痔核であればジオンという薬品を注射し痔核を固める治療法があります。すべての痔核に実施できるわけではありませんが、痛みも少なく入院も短くなります。日帰り入院も可能です。痔の手術後は排便習慣の改善が大切です。 治療をしても良くならない場合、直腸や肛門のがんや、排便時に直腸が出る「直腸脱」など、他の病気も考えられ、精密検査が必要です。 どこの科にかかるとよいか 肛門科や、消化器科を受診してください。

外陰部のたまらないかゆさ

 かびの一種のカンジダは常在菌、すなわち自然発生的に体内に繁殖するものです。カンジダ菌は多くの人が保有しており、それ自体は問題ありません。その菌が膣内に繁殖し、外陰部のかゆみや酒かすのようなおり物がでる、などの症状が現れて初めて治療が必要になるわけです。 カンジダ性膣外陰炎原因は 膣内にカンジダ菌が繁殖する原因については、はっきりしていません。 症状がでるたびに病院に行って適切な治療を受けることが大切です。 治療や療養に関してのアドバイス 治療自体は簡単で膣錠を一、二回投与したりかゆみを抑えるカンジダ用軟膏を塗布することでたいていの人は症状が収まります。再発を繰り返す場合、糖尿病や抗生剤が原因と考えられる人はまずその病気を治すことが先決です。時には腸内に菌が繁殖している場合が考えられます。この場合は内服薬を2週間ほど服用して様子を見ることになります。  かゆみ止めにステロイドの入った軟膏を

白内障手術後の視力低下

 白内障手術後の合併症として一番多いのは後発白内障です。後発白内障は白内障の手術後数カ月から数年で発症します。手術後5年以内に約20%の人が発症すると言われます。若い人の方がなりやすく、白内障の手術で後発白内障が起こるのを完全に防ぐことは出来ません。 後発白内障の原因は 白内障は加齢などで水晶体が濁る病気です。水晶体は「水晶体(すいしょうたい)嚢(のう)」という膜状の組織に包まれています。白内障の手術では、水晶体の前面を切り取って、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出します。その後、水晶体の代わりに水晶体嚢の中に人工の眼内レンズを入れます。白内障の手術後「前嚢(ぜんのう)細胞(さいぼう)」という水晶体の前方の細胞が増殖し、眼内レンズの後方まで増えて混濁を起こすことがあります。これが後発白内障です。眼内レンズそのものが濁っているわけではありません。自然に治ることはなく、放っておくと進行して視力

赤ちゃんのメヤニ、涙

 乳児の流涙(いつも目がウルウルしている)や眼脂(目ヤニ)の原因としての先天鼻涙管閉塞は報告によって幅がありますが、新生児の6~20%にみられると言われています。涙は上まぶたの奥あたりにある涙腺という場所で主につくられ、起きている間中、少しずつ分泌されて目を潤しています。その大部分は、目頭にある涙点という小さな穴から吸収され、涙道という管を通って鼻に出ていく仕組みになっています。先天鼻涙管閉塞では、涙道の鼻への出口の部分が膜状に塞がっていて、涙の流出が障害されています。そのため、目の表面に涙がたまったり眼脂が増えたりします。もちろん、流涙や眼脂をきたす疾患は先天鼻涙管閉塞以外にもいろいろありますので、眼科医による診断は不可欠です。 検査 涙点から少量の水を送る検査を行って、鼻からノドへ流れるか確認します。目の表面に色素をつけて、5分後に色素がどの程度残っているかをみる色素残留試験だけで診断

全身のむくみや息切れ、ふらつき

 慢性に経過する甲状腺の病気の「橋本病」は、90%以上は女性で30~60歳代に好発するとの報告があります。成人女性の25~30人に1人の割合でみられる、ごく一般的な疾患といえます。放置していてもまず心配はいりませんが、長期間経過しているうちに甲状腺機能低下症状(全身倦怠感・むくみ・しわがれ声・寒がり・便秘・脱毛など)が患者さんの20%くらいにみられることがあります。 「橋本病」の症状は 「橋本病」は代表的な甲状腺の自己免疫疾患で、橋本甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの名があり、他臓器の自己免疫疾患と合併することもよくあります。多くは甲状腺が全体に硬く腫れますが、痛みもなく、内科などを受診したとき「甲状腺が大きいね」と触診した医師に言われて気づくほどで、甲状腺機能が正常な限り、甲状腺腫による圧迫症状以外は無症状で経過すると言ってよいでしょう。逆に言えばかなりの頻度で見落としもあると思われます。高齢

(糖尿病で)両足に異常を感じたら

 血糖値が高くなる病気である糖尿病は、神経障害、足壊疽(組織が腐ってしまうこと)、腎症、網膜症、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、白内障、性機能障害、歯周病などのさまざまな合併症を引き起こします。また、糖尿病腎症は尿毒症や、腎性網膜症の原因になります。 糖尿病の症状は 胃の背中側にある膵臓から出るインスリンが血糖をコントロールします。このインスリンの量が少なくタイミングが悪いと糖尿病になります。また、インスリンの量は正常でも、インスリンが働きづらい状況(インスリン抵抗性)も糖尿病の原因になります。高い血糖が長く続くことによって末梢神経の代謝異常と血管障害が起こり、神経障害が発症します。靴下をはく部分(足の指、足の裏)に左右対称の感覚障害が出ることが多いのが特徴です。 神経障害が軽症の場合は生活習慣を改善し、血糖をコントロールすれば軽快します。糖尿病は根気よく治療を続けることが大切です。 治療や療