2020

指の爪の黒い線

爪は爪甲(そうこう)と爪をつくる爪母(そうぼ)、爪甲を下で支える爪床(そうしょう)から成り立っています。この爪母に何らかの病変があると爪の根元から縦に褐色または黒い線状のものが表面に現れ、これを「爪甲色素線状」と呼びます。 爪甲色素線条の正体 爪の黒い線はまれには初期のがんのこともあるので怖がってばかりいないで早めに 皮膚科を受診しましょう。 治療や療養に関してのアドバイス 一般に爪の黒い線は色が淡く輪郭がぼんやりしていればほくろの可能性が高く、色が濃くくっきりした線ならあざやがんの可能性があります。特に爪のふちまで黒い色が染み出したり線の幅が6ミリ以上になるようなら残念ながらがんの可能性濃厚ということになりますが、爪のがんは本来頻度の低い病気です。ところで、小児の場合は5歳までは拡大傾向がありますが成長とともに自然消退しますので思春期まで気長に経過観察して下さい。 皮膚に生じたほくろやあ

陰のう内に精巣を触れない、はっきり見えない

精巣は胎児の時に、おなかの中で発生し、胎児が大きくなるに連れて下降して、出生時には陰のう底に定着します。この下降が十分ではなく、途中で止まってしまった状態が「停留精巣」です。精巣が陰のうの底に降りない場合に次の4つのことが考えられます。 です。それぞれによって、治療も違います。 「停留精巣」の原因は 原因はわかりませんが、背景として以下のことがあります。「停留精巣」の頻度満期出産の新生児・・・・約2%1歳・・・・・約1%早産や低体重児出生時・・約20% まず移動性かどうかの鑑別を(移動性の場合は通常手術はしません。)~状態によっては手術を行うことも~ 治療や療養に関してのアドバイス まず診断を。これはほとんど触診でします。皮下脂肪が多いなどわかりにくい場合は、エコー(超音波)を行います。※精巣が移動性で高度なものでなければ・・・しばらく様子をみる※ひどいとき・精巣のサイズが小さいとき・・手

おしっこの回数が多い

頻尿とは尿が近い、尿の回数が多いことをいいます。頻尿には昼間頻尿(一般に朝起きてから就寝までに排尿回数が8回以上)と夜間頻尿(一般に就寝後から起床までに排尿回数が1回以上)があります。ただ昼間8回以下の排尿回数でもご自身で排尿回数が多いと感じられる場合は頻尿といえます。個人差、季節によっても違いますが一度排尿記録(日誌)を数日でも付けてみると頻尿かどうかがわかりやすくなります。 「頻尿」の原因は ・過活動膀胱膀胱に尿があまり多くは溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気で、尿意切迫感(急に尿がしたくなって我慢がしづらい)を伴う頻尿があります。また、頑固な頻尿をきたす間質性膀胱炎という病気もあります。・残尿排尿後にも膀胱内に多量の尿が残る状態で、前立腺肥大症や子宮がん・直腸がんの手術後、腰部椎間板ヘルニアなど神経障害による膀胱機能の異常(神経因性膀胱)が原因となりま

これっていわゆる「産後のうつ」?

産後の病気といっても様々です。マタニティブルーズ・産後うつ病・産後精神病・過去にあった心の病気の再発・出産による身体的合併症に伴う精神病状態などがそうです。産後うつ病は日本でも欧米と同じく13%前後といわれています。決してまれな病気ではありません。 病気のことをよく知りましょう マタニティブルーズは出産直後から1週間頃までに出現します。涙もろさと抑うつ、不安、緊張、集中困難、困惑、不眠などの神経症状とともに、疲労、頭痛、食欲不振など体の不調も感じます。しかし自然に軽快するので、治療の必要はありません。 産後精神病は産後2週間以内の早い時期に、急激に症状が出ることが多いです。不眠や焦燥を訴えた後に、幻覚、妄想、精神病症状が急に出現します。1000回の出産に1〜2人の人に発症するといわれていますが、ちゃんと治療をすれば数ヶ月で軽快することが多い病気です。 産後うつ病は出産後数週から数ヶ月以内に

尿路結石を何回も繰り返し起こしている

尿管結石は再発することが多く、再発予防はできないものかと質問をよく受けます。尿路結石は様々な要因が重なり合い形成されるため、原因を特定できない場合が多いです。 しかしながら、特定の基礎疾患を有する場合に有意に結石の罹患率が高いことが知られています。①胃腸疾患(胃潰瘍、クローン病、腸切除)②クッシング症候群③長期臥床④骨折⑤高尿酸血症(内服薬が原因の場合もあり)⑥膠原病⑦緑内障てんかん(内服薬が原因)  などが挙げられます。 このような疾患を有する患者さんは、病気のためや病気に対する治療薬のために、ステロイドホルモンやカルシウム、尿酸などの代謝のバランスが悪くなり結石形成につながるといわれています。このような場合、基礎疾患の治療を行うことや治療薬の変更などで結石の再発が防げる場合もあるため、上記疾患を罹患している患者さんで結石に罹患した場合は主治医の先生にも報告をした方がよいでしょう。 また

動悸や息切れや胸部不快感

不整脈は脈が一定にならず不規則に乱れて打つことです。乱れ方にはさまざまな方があり、場合によっては生命にかかわることも有ります。診断はまず安静時心電図をとり、これで異常が見つかれば次に長時間心電図(ホルター心電図)をつけてより詳しく調べます。 不整脈の原因は 心臓が悪くて不整脈が出ている場合と、心臓が悪くなくても不整脈だけ出る場合もあります。またその種類もいろいろありますが、大きく分けて心臓の上の部屋からのもの(心房由来)、と下の部屋(心室由来)があります。また、命には直接影響しないものとすぐ治療しないと命にかかわる不整脈も有りますが、大事なのは、自分の不整脈がどのようなタイプの不整脈かを知っていることが大切です。 治療や療養に関してのアドバイス 不整脈には単発型と連発型があります。単発型は、不整脈が連続して起こらず、正常な脈と脈の間に独立して起こります。治療が必要でない場合が多いのです。連

見た目で赤いおしっこが出る

尿の経路(尿路)に何らかの異変がありますと、尿の中に赤血球が混じるようになります。これを「血尿」と呼びます。血尿には、自分の目で見て判断できる「肉眼的血尿」と、顕微鏡検査や尿定性試験で初めて分かる「顕微鏡的血尿・尿潜血」の2つに分けられます。肉眼的血尿の場合は、膀胱がんや腎がんなど悪性腫瘍の可能性もあるため、必ず泌尿器科専門医の検査を受けて下さい。一方、顕微鏡的血尿や尿潜血の場合には、検査をしても明らかな異常が見つからないことの方が多いですが、必ず一回は検査を受けて種々の病気がないことを確認しておきましょう。 長く血尿が続く原因は 腎炎・膀胱炎、腎結石・尿管結石、腎癌・膀胱癌 など。 尿路に結石や腫瘍があるかどうかを調べるには、レントゲンやCT、MRI、エコー、膀胱鏡などを用い、外来での検査が可能です。膀胱癌などでは痛みを伴わないこともありますので、血尿が続けば早めに泌尿器科を受診して下さ

両親がRh(+)とRh(-)の場合に子どもに与える血液型不適合とは?

Rh因子(アールエイチいんし)とは、血液型を決定する因子の一つ。 血液型では、ABO式はよく知られていますが、Rh式については聞いたことはあるがあまりよく知らないという方が多いようです。現在は40種以上の抗原が発見されているが、一般に輸血などの際に強い影響を与えるD抗原を持っている場合をRh 陽性「Rh(+)」、持っていない場合をRh 陰性「Rh(-)」といいます。日本人では200人に1人がRh(-)で、ほとんどの方はRh(+)です。血液型不適合による反応が起こるのは、母親がRh(-)で授かった子供(胎児)がRh(+)の場合です。母親も子供もRh(+)同志、あるいはRh(-)同志の場合には何ら問題はありません。 血液型不適合の症状は Rh(-)の母親にとってRh(+)の胎児を排除しようとする変化が起きます。抗原抗体反応といっています。抗原は胎児の血液のD抗原です。このD抗原を排除する抗体が

生理不順のまま成人になった場合の妊娠への影響

月経が始まって数年間はホルモン調節機構が未熟なため生理不順になることはよくありますが、成人になってからも続いている場合は、将来の妊娠に対して問題になることがありますから、産婦人科で診察を受けられることをお勧めします。 正常な月経は ホルモン調節異常が生理不順の原因であれば薬物療法で劇的に改善します! 治療や療養に関してのアドバイス 月経不順であった人も20歳頃には順調になることが多いです。しかし進学や就職で一人暮らしを始める、アルバイトを始めるなど生活や環境の変化及び精神的なストレスでホルモン調節に異常をきたし月経が不順になることがあります。多くはホルモン治療することで、月経は正常周期に戻ります。妊娠可能かどうか心配なら、基礎体温を測定して排卵の有無を確認します。基礎体温を記録して持参していただくと診断に役立ちます。 生理不順の原因がホルモン調節異常ではない場合 不必要な内診はしません。産

成人まで放置していた斜視

片方の目は見たい方向、もう片方は違う方向に目線が向いてしまう状態を斜視といいます。斜視は、ずれる方向によって、外斜視、内斜視、上斜視などがあります。目線が、外に広がっていれば外斜視、内側に寄っていれば内斜視です。上斜視は、整容的にはわかりにくい斜視ですが、少しでもあれば、複視を自覚することが多く、見栄えのわりに生活がしにくくなる斜視です。 幼少時に、問題になるのは、多くの場合、内斜視による弱視です。内斜視があっても、眼鏡などによる弱視治療を優先するため、斜視治療を後回しにせざるを得ない場合があり、内斜視が残ってしまうことがあります。また、高度な外斜位があっても頑張って正位の状態が保てる場合は、経過観察になる場合も多く、これが大人になって外斜視となってしまうこともあります。 上斜視は、子供のころから放置されていて大人になって発症することはほとんどなく、突然発症する麻痺などで起こることが多い病