11月 17, 2025

視野障害(見える範囲が狭くなる)をきたす緑内障

ここでは、進行が遅く、目薬で治療するタイプの緑内障のお話をします。 緑内障の症状は 視野障害が主な症状です。視野障害が中心部分に及ぶと、視力が低下します。視野障害はその場所が真っ黒になるわけではありません。自然とぼやけるような感じとなるので、気づかないことの方が多いのです。したがって、多くの緑内障の方は無症状です。緑内障が原因で視力が低下してきた場合は、かなり進んだ状態と言えます。 治療や療養に関してのアドバイス このまま緑内障で失明するかどうか。これは定期的な視野検査でわかります。視野検査を何回かすることにより、視野障害の進行速度がある程度予測できるようになります。失明が不安であれば、視野検査の後、医師に聞いてみてください。 視野検査が大事な理由は、治療を変更するかの一番の判断の材料だからです。視野障害は完全に止めることはできませんが、進行が速い場合は、目薬を変更・追加し、眼圧をさらに下

抗がん剤治療にともなう下痢

25年前に胃がん、20年前に大腸がん、昨年また胃がんで胃・脾臓・胆のう・大腸の一部を切除しました。抗がん剤で下痢になり薬を飲んでいますが治まりません。何かいいアドバイスは? がん治療にともなう下痢の原因 胆のうや胃・大腸など消化にかかわる臓器を摘出あるいは切除されているため、消化酵素が充分に分泌されなかったり、飲食物を消化吸収するスペースが少なくなり、消化不良を起こしていることが考えられます。抗がん剤も下痢を引き起こすものが多く、複合的な影響で下痢が続いているものと思われます。 治療や療養に関してのアドバイス 長引く下痢により栄養の吸収が不十分となり、全身の疲労感、無力感が強くなり、体のさまざまな機能低下の原因になります。漢方ではこのような状態を「正気(せいき)」が消耗していると考えます。正気の消耗によって、消化、吸収の機能を表わす「脾(ひ)」の働きや体を温めて脾の機能を支える「腎(じん)

年間に複数回、急にのどが痛くなり高熱を出す

ふだんは健康に生活しているのに、急にのどが痛くなって高熱が出て登校や出勤に支障が出る人がいます。口をあけるとのどの奥に左右1対の口蓋扁桃があり、ここが赤く腫れたり膿がついたりしている状態が扁桃炎です。かねてから口蓋扁桃が大きいと扁桃炎になりやすいから手術でとってしまったほうがよいと思っている方が少なからずありましたが、実際はどうなのか解説します。 本当に厄介な扁桃炎とは のどの奥には、口蓋扁桃・咽頭扁桃・舌扁桃や孤立リンパ濾胞と呼ばれるリンパ組織が集合しており、外部からの病原体の侵入に備えています。これらの組織は自らが炎症を起こすことでさらに重症の呼吸器や消化器感染症を防いでいるのです。そういう意味で「生理的炎症臓器」とも呼ばれていますが、あまり鋭敏に反応するようになると却って日常生活に支障をきたすことになりかねません。社会的な尺度として年間4回以上高熱や咽頭痛で登校・出勤を控えなければな

五十肩の痛みを取る方法

専門的には「肩関節周囲炎」といいます。50歳ごろになると起こりやすい肩の症状で一般に五十肩といわれています。老化のひとつの症状でもあります。何かの刺激により炎症が起こって痛みが出てくるようになります。 五十肩の症状は 髪やひもを後ろで結んだりするのに、後ろへ腕を回そうとして痛んだり、後ろまで腕が回らなくなったりすることで気づきます。 治療や療養に関してのアドバイス レントゲン写真を撮ったり、関節の動く範囲を調べたり、痛みの強い部位を確かめたりして、他に痛みの原因となる病気がないことを確認して診断をします。そして、「五十肩」と診断がついたら、痛みを取るための治療が始まります。個人差はありますが、完全に治るには、半年から2年近くかかる場合が多いようです。 「五十肩」の痛みをとる治療 肩は腕を支えている負担の大きい関節なので、普段から血液の流れを良くするための肩回し運動を行って関節を大きく使うよ

見えにくいと感じたらもう遅い、糖尿病の合併症

糖尿病は、若年に起こるⅠ型と、中高年から起こるⅡ型があります。糖尿病のほとんどがⅡ型です。治療しないで放っておくと体は少しずつ糖尿病に蝕まれて合併症が起こりやすくなります。糖尿病の合併症は腎機能低下、神経障害、網膜症です。合併症の一つである網膜症は、糖尿病が発症して5年以上経つと起こる可能性が高くなり、25年経つと80%の人に見られるといわれています。しかしながら網膜症は、非常に高度になるまで自覚症状が出ないため眼科受診が遅くなってしまうことがあり注意が必要です。 糖尿病網膜症の症状は 糖尿病網膜症はその重症度から3つの段階に分けられます。1.単純糖尿病網膜症2.増殖前糖尿病網膜症3.増殖糖尿病網膜症 単純糖尿病網膜症は毛細血管瘤などを生じますが、ほとんどの場合視力は下がりません。増殖前糖尿病網膜症では白斑と出血が増えますが、この時点でもほとんど視力は下がりません。しかし、この時機に網膜光

PSAが高いといわれた

 前立腺がんは加齢とともに発生頻度が増加し、その多くは60歳以降に認められます。前立腺がんは一般的には進行速度が遅いがんと考えられていますが、進行の早いものもあり、欧米では男性のがんの中で罹患率は最も高いものの一つです。日本でも近年罹患率、死亡率ともに増加しており、非常に身近な癌と考えられます。 前立腺がんスクリーニング検査 血清PSA測定をするPSA検査は、住民検診、健康診断、人間ドック、かかりつけ医における前立腺がんのスクリーニング検査として勧められています。 PSAとは PSAはProstate Specific Antigen(前立腺特異抗原)の略号で、前立腺がんの腫瘍マーカーとして、前立腺がんの早期発見、病気の進行程度の推測や治療経過観察中の再発・再燃を診断する上で役立っています。生理的には、PSAは前立腺から精液に分泌されるセリンプロテアーゼという蛋白分解酵素で、射精直後のゲル

突然顔の半分が動かない

突然に顔を動かす神経が麻痺して、筋肉が垂れ下がり、表情が作れなくなる顔面神経麻痺は、普通片側だけの麻痺で、唾液分泌異常や聴覚過敏、味覚障害を伴うこともあります。早期治療によって1週間位して改善傾向が見られ、1ヵ月くらいでかなり良くなってきます。3ヵ月から半年までに4人のうち3人までが元通りに治ります。 顔面神経麻痺の原因は 治療や療養に関してのアドバイス 発症後、できるだけ早期にステロイドや抗ウィルス薬などの薬物療法を開始し、次いでリハビリテーションを開始します。半年たって症状が残っていれば、それ以上の回復は難しくなり形成外科的治療が必要になります。麻痺が残っていることが、どの程度の支障があるかでその後の治療が決まります。眉やまぶたや口角が大きく下がっている、笑った時の表情が気になる場合は見た目のバランスを整える手術や、麻痺した筋肉の代わりに新しい筋肉を移植する手術を受けることもできます。

まばたき、咳払いを続ける

症状について 症状は、まばたき、首振り、顔しかめ、口すぼめ、肩上げなど上位の身体部位によく現れますが、飛び跳ね、足踏み、足けりなど全身に及ぶ運動性チックといわれるものもあります。また、咳払い、鼻ならし、叫びや単語を連発する音声チックといわれるものもあります。しかし、周囲の人の目にとまりやすいチックでは、本人も気にするようになります。 チックとは 突発的、急速、反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものです。一種の癖のようなもので、これが固定・慢性化して激症化するとチック症と診断されます。いずれも、本人はわざとやっているわけではなく、止めようと思っても止まりません。小児期ではまれな疾患ではなく、幼児から小学校低学年ぐらいまでの子に多く見られ、成人するに伴い自然に治癒する傾向があります。しかしながら、チックは本人が止めようとすると増強したり、発表会な

人間ドックで肝臓に血管の腫瘍?!

人間ドックの超音波(エコー)検査などで「肝血管腫(かんけっかんしゅ)の疑い」と指摘されることは、決して珍しいことではありません。肝血管腫とは、肝臓にできる、細い血管がスポンジのように集まってできた塊のことです 。その多くは生まれつきのものとされ 、良性の腫瘍であり、がん化することはまずありません。人間ドックで見つかる肝臓の所見としては、脂肪肝や肝のう胞に次いで多く 、ほとんどは痛みなどの症状もなく、治療も不要です 。  血管腫は良性の腫瘍で、痛みなどの症状がないことから放置しておく場合がほとんどです。 治療と療養のアドバイス ごくまれに、悪性腫瘍である肝がんと見分けるのが難しい場合があるためです 。肝がんは短期間で大きくなる性質がありますが、血管腫の大きさが急に変化することはほとんどありません 。そのため、医師の指示に従って一定期間後に再検査を行い、大きさに変化がないかを確認することで、よ

ドライアイについて

ドライアイとは、涙の質や量の変化で涙が乾きやすくなり、目が疲れる、乾く、ごろごろする、痛い、充血する、まぶしい、かすむなどの症状を伴うものをいいます。日本では2,200万人の患者さんがいるとされています。 ドライアイの原因は 治療や療養に関してのアドバイス ドライアイの治療 ドライアイは眼科医にて適切な診断と治療が必要な病気です。涙の油の層・水分の量・ムチンの状態・炎症の状態・眼周囲の環境などに分類し、それぞれの原因に対応した治療を行います。基本的には点眼薬による治療を行います。点眼薬には防腐剤を用いていないものがあり、この場合は通常の点眼薬とは使用方法が異なる場合がありますので、処方された薬の使用方法をよく確認してください。点眼液で充分な効果が得られないときには、シリコン製プラグなどで涙の出口を塞いだり、手術によって涙点(涙の排水口)をふさぐこともあります。少しでも分泌されている涙を目に